弔辞を読ませていただきました。

 何十年ぶりかに弔辞を読ませていただきました。前回は同級生への弔辞でいろんな

例文もあり、文を作るのにそんなに苦労しなかった記憶があるんですが、今回は正直

困りました。亡くなられた方がご高齢で、しかもご家族の方も故人の履歴をほとんど

忘れていらっしゃること。どのように故人の思い出を紡いで文に起こせばいいのか

なかなか難しいところでした。どなたもそうでしょうが、冠婚葬祭の文章ほど

悩むものはありませんよね。ネットで例文を検索したり、冠婚葬祭の本で調べたりと

するのがほとんどだと思うんですが、私も、今回の件では、例文頼みでしたが、

ちょうど、故人の今までの経歴にあうような例文がなく、自分で考え考え作成するのが

やっとでした。字数で約450文字。一度試しに音読してみましたが、1分も持ちません

嫁さんの前で読んでみると、「読むのが早い、もっとゆっくり読んだら」とご指摘を

頂戴する始末。今回は彼女の指摘も当たっており、ことは急を要しますので、(明日が

葬儀という前日です)素直に従って、とにかく、ゆっくり、ゆっくりでどうにか2分弱

までこぎつけました。450文字を2分ぐらいで読むのも大変な技術を要します。本番で

緊張しすぎると、どうしても早口になり1分も持たなくなりそうな不安もあります。

最後は自分自身の心の問題に行き着くところでしょうが、そこは何とかなるだろうと

自分で根拠のない自信を持ってやっていくしかないと腹を括りました。

 でも、難題がもう一つ、弔辞を文字として残して、ご遺族にお渡ししなければいけないことを忘れてました。私、自慢じゃないけど悪筆なんです。読めはするんですが丁寧に書こうとすればするほど、下手とわかりすぎるほど、幼稚な文字になってしまいます。そのうえ、弔辞は筆で書くのが常識と本やネットで紹介されていたんでさらに悩みの種が増えてしまいました。悪筆が筆文字が書けるはずがない。試しに弔辞専用の用紙に筆(この場合は筆ペン)で書いてみたんですが、本当の墨を使った筆でないからでしょうか、紙がにじんでしまって、とてもご遺族にお渡しできるようなものではない仕上がりになりそうです。そこで、葬儀社の職員の方に、弔辞の文章は筆で書かないと

絶対ダメなのかお尋ねすると、にこやかな顔で、お気持ちがこもっておられれば、どのような筆記具でも構いませんよとのことでした。安心しました。でも、下手なのは変わりませんので、ボールペンで自分なりに丁寧に書いてみました。完成までに、3回ほど書き直したんですが。それでも、自他ともに認めるくらい下手な字で仕上がりました。

 当日は、当然早起きして、何回か練習して、シュミレーションして臨みましたが、

緊張するかと思いきや、我ながらうまくできたようで、自己満足のうちに無事終わって

(遺族の方に大変失礼で大変不謹慎ですが)ホットしています。